災害救助犬、盲導犬、介助犬…「人のために働く」すべての犬に共通する1番大事な事②

現代ビジネスより

人のために働く犬の、最も大事な特性は


 命令されれば自分の命をかけても向かっていくべき警察犬。「行け」と言われても、飼い主やハンドラーの命を危険にさらさない様、あえて命令を無視することもある盲導犬、災害救助犬。どんな扱いを受けても、噛むことはおろか、うなり声さえあげることのないセラピー犬。

このように職業使役犬は、任務によって必要な特性が少しずつ異なりますが、「人のために働く」すべての犬にとって、最も必要で大切な特性が一つあります。

それは、人が大好きで、人を深く信頼していること。

 人好きの犬は、人に喜んでもらうことが大好きです。

大好きな人の役に立ちたいと考え、自分の好意が相手を喜ばせば自分も嬉しくなり、褒められればさらにやる気を出します。その特質が、「人のために働く」原動力になるからです。

 飼い主と信頼関係が築けている犬は、飼い主と一緒にいる時に、つねに飼い主の声や表情に注意を向けているのがわかります。散歩中でもちらりと見上げる。遊んでいても、飼い主が声をかけると一目散に寄ってくる。

飼い主を喜ばせる機会がないかと、いつも気にしているのです。そして何か頼まれたら、「やりま~す!」とばかりにやってみせる。すると褒めてもらえる。それは犬にとって、散歩やおやつに並ぶ最高のごほうびなのです。

職業使役犬は、かわいそうか

危険なエリアでの過酷な救助活動も、信頼できるハンドラーがいることで、犬は訓練の成果を発揮することができる。写真提供:日本救助犬協会

 そもそも犬にとっては、仕事も遊びも違いはありません。好きな飼い主、救助犬にとってはハンドラーと一緒にいられる時間は、「はしゃいではいけない」「吠えてはいけない」などの我慢は必要でも、基本的には「嬉しい時間」です。

時々職業使役犬を、「人間の道具のようで可哀そう」と言う方がいますが、私はそうは思いません。

 もともと犬は知能が高く、新しいことを学ぶのが好きな動物です。

救助犬に必要な訓練は、そうした犬が新しいことを学ぶ機会であり、ハンドラーに「言われたこと」をやって「褒めてもらえる」、犬にとって「遊び」の時間です。

少なくとも「学ぶ」ことが好きな賢い犬を、刺激のない家の中に閉じ込めておくよりは、ずっと生き生きと過ごせるでしょう。

 人と同じように犬にも個性があります。

職業使役犬は、その個性を最大に引き出し、犬が楽しく訓練できるようさまざまな工夫をこらしています。逆に言えば、犬が楽しいと感じられなければ、訓練はうまくいきません。

つづく

NPO法人 補助犬とくしま

特定非営利活動法人(NPO法人)補助犬とくしまは、徳島県の身体障害者補助犬(盲導犬、介助犬、聴導犬)の育成と普及啓発を促進する事業を行い、障がい者福祉の向上のための活動を行なっています。

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