供血犬、獣害対策犬、ファシリティ犬…知られざる「働く犬」の世界

嗅覚は人の1億倍とも言われ活躍の場広がる

JBpressより転載

世の中には体が不自由な人を助ける犬、私たちを犯罪から守ってくれる犬、災害現場で活躍する犬など、実にたくさんの「働く犬」がいる。そこにいるだけで癒やしを与えてくれる犬たちだが、その能力は実に豊か。人間以上の働きぶりに驚かされることもしばしばである。そこで今回は、私たちの生活を助けてくれる「働く犬」を紹介していこう。

「供血犬」とは、犬に輸血が必要になった時に血を提供してくれる犬のこと。人間とは違い血液を確保する血液バンクなどの仕組みが存在しない上、血液型が13種類以上もあるという犬たち。

 しかもその血液は長期保存もできないという。そのため動物病院では助けられる命を救うため、供血犬を飼育したり、各家庭で飼われる一般の犬たちにドナー登録を促したりして、輸血元となる供血犬を確保している。

身体障がい者の生活を守る「補助犬」

「働く犬」と聞いて、まず思い描くのものといえば「盲導犬」ではないだろうか。目の不自由な人が安全に歩けるよう、障害物を避けたり危険な場所の前で止まったりしてくれるが、実はこの盲導犬、「補助犬(身体障害者補助犬)」の中の1種類で他にも種類がある。

目が不自由な人を助ける「盲導犬」に対し、耳が不自由な人を助けるのが「聴導犬」だ。玄関チャイムや着信音、赤ちゃんの鳴き声といった必要な生活音を聞き取り、聴覚障がい者の耳となってサポートしてくれる。

そして手足に障がいのある肢体不自由者のサポートをするのが「介助犬」。指示したものを持ってきたり、ドアの開閉、脱衣補助や車いすの牽引といった日常のサポートをしたり、不測の事態には助けまで呼んできてくれたりする頼もしい存在だ。

 彼ら「補助犬」の働きにより、障がいのある人々の生活がより便利で安全なものになっているのは言うまでもない。


1億倍とも言われる嗅覚生かす

 福祉の世界で我々を助けてくれる犬もいれば、我々を犯罪から守ってくれている犬もいる。それが「警察犬」だ。

 ニュースでも目にする機会の多い「麻薬探知犬」や、現場に残された遺留品の匂いから犯人や被害者の痕跡を追う「足跡追及犬」。また犯人への威嚇や逮捕時に活躍する「威警犬」など、個体差などで違いはあるものの人間の数千〜1億倍ともいわれる犬の嗅覚や高い知能を生かして、我々の暮らしを守るまさにヒーローのような存在と言えるだろう。

 警察犬になるには特殊な訓練が必要な上、なれる犬種も限られている。警察犬として働けるのは、エアデール・テリア、ボクサー、コリー、ドーベルマン、ゴールデン・レトリバー、ラブラドール・レトリバー、ドイツシェパードの7種類。それぞれに体力や忍耐力、性格に特徴があり、さまざまな訓練を経てやっと警察犬として活躍するようになる。

「警察犬」ではないものの、災害時や遭難時に私たちを救ってくれる犬たちも忘れてはいけない。

地震や土砂崩れなどの予期せぬ災害で、土砂や瓦礫の下に生き埋めになった人を鋭い嗅覚で見つけてくれる「災害救助犬」。雪山や山林で行方不明となった人を捜索する「山岳救助犬」や、海や川で溺れている人を助ける「水難救助犬」など、聞けば聞くほど犬とはなんと有能な動物なのかとびっくりしてしまう。

「害獣対策犬」や「ファシリティドッグ」も

 珍しいところでは、農作物や家畜への被害を防ぐ「害獣対策犬」や、病院や施設内で飼育され、病気の治療をしている子供たちなどの精神的なケアをする「ファシリティドッグ」という「働く犬」も存在する。本当に数多くの「働く犬」が私たちの暮らしを守り、支えてくれているのだ。

 高い知能を持ち、主人に忠実な犬だからこそこれだけの「働く犬」たちが活躍している。もしどこかで「働く犬」を見かけた場合は、犬たちの注意を逸らさないようそっと応援してあげてほしい。

NPO法人 補助犬とくしま

特定非営利活動法人(NPO法人)補助犬とくしまは、徳島県の身体障害者補助犬(盲導犬、介助犬、聴導犬)の育成と普及啓発を促進する事業を行い、障がい者福祉の向上のための活動を行なっています。

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