入店断られた経験 数十回 補助犬「同伴OK」遠く 法成立20年、周知進まず

熊本日日新聞より転載


民間施設や公共交通機関で補助犬(盲導犬、介助犬、聴導犬)などを同伴する客を拒むことを禁じた身体障害者補助犬法が成立して、5月で20年を迎えた。ただ、浸透はいまひとつで、使用者が同伴を断られるケースは少なくない。関係者は「補助犬の存在、必要性を理解してほしい」と訴える。

 同法は障害者の自立と社会参加促進を目的に2002年に成立。ホテルや飲食店などの民間施設でも補助犬の同伴を原則拒否できなくなった。しかし、罰則はなく、同伴を断る施設は今でもある。日本盲導犬協会が3月に公表した調査によると、回答した全国の盲導犬使用者215人のうち35%が同伴を断られる「受け入れ拒否」を経験。医療機関や飲食店、宿泊施設で目立ったという。

 厚生労働省によると、全国の補助犬は21年10月現在、盲導犬861匹、介助犬57匹、聴導犬61匹がいる。県内は盲導犬4匹のみ。熊本市東区でマッサージ店を営む藤川舞さん(42)は、視覚障害で15年3月から盲導犬「ヤファ」(雌、9歳)と共に生活している。ヤファと暮らし始めてから活動範囲が広がり、区役所や銀行、スーパーなど半径2~3キロを他人の補助を受けずに歩けるようになった。「一緒にいると心強い。道に迷った時も他人に尋ねる勇気が自然と湧いてくる」と実感する。

 ただ、これまでの7年間で数十回にわたって、飲食店や宿泊施設、道の駅などで入店を断られた経験があるという。「法律の存在自体を知らない人が多く、なかなか自由に外出できない。法律の内容を伝えても、衛生面や他の客への影響など何かと理由を付けられてしまう」とため息をつく。

 九州盲導犬協会(福岡県糸島市)は「補助犬は障害者にとって体の一部で欠かせない存在」と指摘。学校や企業での教育の必要性を挙げ「多くの人に理解してもらうまで時間はかかるが、地道に啓発していくしかない。法律を知ったら身近な人と共有してほしい」と理解を求めている。(樋口琢郎)

NPO法人 補助犬とくしま

特定非営利活動法人(NPO法人)補助犬とくしまは、徳島県の身体障害者補助犬(盲導犬、介助犬、聴導犬)の育成と普及啓発を促進する事業を行い、障がい者福祉の向上のための活動を行なっています。

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